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多汗症の治療

 

汗について
夏になり、気温が上がると誰しも汗の量が増えますが、これは水分を体外へ出してそれが蒸発する際に気化熱を奪われることによって温度が下がるので、体温調節の役割をしている「温熱性発汗」と言われます。それ以外にも、緊張すると汗が増加するような「精神性発汗」、辛いものを食べると発汗量が増える「味覚性発汗」など、発汗にも種類があります。

いわゆる発汗に関係しているのはエクリン汗腺で、全身に約200~500万個存在していると言われています(臭いに関係するのがアポクリン腺でワキや陰部に分布)。人間は1時間で1リットル、1日で約10リットル発汗する能力を持つと言われます。


多汗症の種類
大きくは全身の汗の量が多くなる全身性多汗症と、脇や手足など限られた部位の汗が著明に多い限局性多汗症に分けられます。全身性多汗症は内分泌疾患、神経系疾患などに伴って生じることも知られています。

 

多汗の問題点
発汗後に水分蒸発すると塩分が残存しベタつきや汚れが付着しやすい、皮脂とまじり一層テカリが生じて不快感や化粧崩れが生じる、衣服の汗じみなど以外にも、あせも(汗疹)、細菌が繁殖して汗臭増加(腋臭症、足臭)、イボや水虫になりやすいなど皮膚疾患が多発しやすくなります。

 

発汗を抑えるスキンケア
①汗を洗い流す:石鹸、シャンプー、シャワー、入浴。
②市販制汗剤:主成分はクロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウム・ジルコニウム化合物などです。 使用感からはパウダースプレー型が好まれていますが、効果が不充分であれば効果に優れるロールオン型やスティック型を試してみましょう。

多汗症のメディカル・ケア
1)保存的治療:一定の効果はあるものの、効果持続期間は一時的です。体への侵襲は少ない方法です。
①外用剤

保険の外用薬・シート剤:保険治療でも有効な外用薬やシート剤がありますので、まずお試しください。

塩化アルミニウム:金属塩が汗孔を閉塞したり、汗腺組織の萎縮を生じさせます。
抗コリン薬:刺激はありませんが、広範囲に使用すると時に口渇を生じることがあります。

②内服薬
抗コリン薬:プロバンサイン。前立腺肥大や緑内障の方では使用できません。
抗不安薬:グランダキシン、セディールなど。
漢方薬:防已黄耆湯、四逆散、茵ちん蒿湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、補中益気湯など。

2)ボトックス(ボツリヌス菌毒素製剤)注入
ボトックスを直接皮膚に注射し、神経終末でのアセチルコリン放出を抑制することによって効果を発揮します。4~6カ月の間、効果が持続します。脇の下には著効しますので、重症例では第一選択になることもあります。

 

3)外科的治療
汗腺組織の除去※当院では行っておりません


治療の選択(どれから試すか)
多汗症の程度には個人差があります。一般的には体への侵襲が少ない方法から順次試してゆくのがよいでしょう。

軽症の方では市販の制汗剤が一番お手軽ですし、刺激症状などを含めた副作用も少ないでしょう。それで効果が不充分であれば、次にクリニック処方の外用制汗剤(部位や症状によって種類が異なります)をお試し下さい。全身性であったり、精神性発汗の要素が強い方では内服を試用してみてもよいでしょう。

ワキで効果が不十分であったり、刺激のために使用できない、頻回に使用しなければならないので不便である、というようでしたら、ボトックス(ボツリヌス菌毒素)注入療法をお勧めします。

皆さん、それぞれが自分にあった方法で適切な汗の処理を行い、快適な生活をお送りください。

 

Q1.塩化アルミニウムの作用について教えてください。

A1.塩化アルミニウムは、皮膚の成分と一塊になって結晶を作り、汗の出口を塞ぐのが主な作用と考えられています(長期使用による汗腺組織の萎縮も報告はされています)。そのため、1日の中でも交感神経が落ち着いて少しでも発汗の少ない夜に濃度の高い液剤(20%濃度が基本で、基剤には水とエタノールの2種類を用意しています)を使用していただきます。発汗の減少が実感できれば、使用頻度を数日に1回などと減らしてゆき、最小限度で維持することを目的としています。

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